高齢者のQOLの向上と医療費削減のための取り組み

医療の進歩により、日本人の寿命はどんどん延びています。しかし、寿命が延びるということは、その分医療費も拡大するということになります。

高齢になると、病気やケガをする確率は若い世代よりも高くなってしまいます。病院や自宅で寝たきりになったり、要介護状態になってしまうと、当然医療費はかかる一方です。そのため、疾患を抱えた高齢者や介護を要する人は増えると、医療費が拡大してしまい、若い世代の経済的負担が増えてしまうことになってしまいます。そこで、このような事態を避けるために、近年は医療職の間で予防医学が注目されるようになってきました。

予防医学とは、病気を発症してから治療するのではなく、そもそも病気にならない体づくりや環境づくりをしようという考え方基づいた医療分野になります。そのため、医師や看護師は、患者に健康教育をしたり、健康指導をしたりして、予防医学の啓発を行います。また、予防医学では、医師や研究者が病気を発症する原因を探ったり、予防方法を研究したりもします。特に、病気を発症するメカニズムがわかれば、事前にそれを食い止めることができるので、予防医学においては注力されています。

それから、予防医学は、寝たきりや要介護の状態を防ぎ、健康に生活できる健康寿命を延ばすことにも関係しているので、介護予防の一端を担っているともいえます。寝たきりになると床ずれを起こしたり、足腰の筋力の低下を引き起こすので、健康維持にも大きく影響してきます。ですから、医療従事者はこのことについても、今後はもっと知識を深めていく必要があるでしょう。